フォークリフトの労災や注意喚起について

フォークリフトの労災や注意喚起について

フォークリフトは、おもに重量物の運搬に利用すること、また車体自体の重量も大きいことから、重篤な事故や災害が発生する可能性高い業務用車両になります。

中でも、倉庫における運搬業務など頻繁にフォークリフトを使用するような現場においては、フォークリフトに関わる事故は代表的な労災であるといえます。

フォークリフトの頻繁な利用がある場所においても、できる限り労災を防ぎ、安全な作業環境をつくるためには、日ごろからの仕組みづくり・注意喚起や教育が重要になります。

フォークリフト作業で生じる重大事故

フォークリフト労働災害件数は、年間2000件前後で推移していますが、フォークリフト作業に起因する重大事故のうち、最も重篤なのは死亡事故です。

フォークリフト労働災害における年間の死亡者数は、約20~40人程で推移しています。また死傷者(亡くなった人と怪我を負った人が混在している数)だと、年間2000人程で推移しています。

死亡事故は絶対に起こさないようにしなければなりませんが、過去の事例が社内に存在しない場合は、根本的な防止対策を練るのが難しいかと思います。

そこで、フォークリフト作業における死亡事故の原因として、特に多いものを以下に挙げます。

墜落・転落

死亡事故の原因うち、最も多いと言われるのが墜落・転落になります。フォークリフトごと墜落・転落したり、荷台から墜落・転落したりする事故を指します。

墜落・転落による死亡は、死亡事故の中で特に高い比率となっており、多くはフォークリフトの用途外使用に起因するものです。

例えばフォークリフトのフォーク(爪)上に人を乗せて作業を行った結果、作業員が墜落して死亡したケースなどが見られます。他にも、パレット上に作業員を乗せてフォークリフトで持ちあげて高所作業をした結果、転落によって死亡した事故もあります。

これを防ぐために必要となるのは、用途外使用を徹底して禁止すること、作業員が高所から転落する恐れがある場合は防止措置を講じることです。また、重篤な墜落・転落事故を防ぐために、安全に十分配慮した作業計画の作成が求められます。

フォークリフトの用途外使用については、法令により禁止されています。

労働安全衛生規則

第 151 条の 13 フォークリフト等の車両系荷役運搬機械等を用いて作業を行うときは、運転席以外の箇所に 労働者を乗せてはならない。
第 151 条の 14 事業者は、車両系荷役運搬機械等を荷のつり上げ、労働者の昇降等当該車両系荷役運搬機械 の主たる用途以外の用途に使用してはならない。

はさまれ・巻き込まれ

死亡事故の原因として、墜落・転落とともに多いのが、はさまれ・巻き込まれです。

過去の事例を見ると、多くのケースは作業員の注意不足や誤操作に起因するものです。また無資格者がフォークリフトを操作して発生しているケースも多くみられます。

例えば、無資格者が運転中、フォークリフトを前進させるつもりはなかったが、操作を間違えて前進させてしまい、作業していた別のスタッフがフォークリフトと停車中の貨物自動車の間に挟まれて死亡した事例があります。

対策として、まず無資格者によるフォークリフト操作は絶対にさせないことを、事業所としての体制や仕組みづくりを講じておく必要があります。

また、運転手は運転席から身を乗り出さないようにする等の運転手側の安全意識と、フォークリフトの周囲にいる作業者や歩行者も、事故を防ぐ認識を常に持っておく必要があります。

他にも、安全装置付きの車両を導入する等、設備面での対策も有効です。 フォークリフトの無資格運転に関しては、法令に以下の通り定められていますので、ご参考ください。

労働安全衛生法

第 61 条 事業者は、クレーンの運転その他の業務で、政令で定めるものについては、都道府県労働局長の当該業務に係る技能講習を修了した者その他厚生労働省令で定める資格を有するものでなければ、当該業務に就かせてはならない。
第 61 条 3 第一項の規定により当該業務につくことができる者は、当該業務に従事するときは、これに係る免許証その他その資格を証する書面を携帯していなければならない。

転倒

フォークリフトがバランスを崩して転倒することにより、下敷きとなったりして死亡する事故を指します。 急カーブやスリップによってフォークリフトが横転したり、脱輪によってフォークリフトが傾いた結果運転席から投げ出されたり、といったケースになります。

作業エリアにおける制限速度厳守の徹底や、正しい運転技術の習得・実践が重要になります。

激突

作業中や歩行中の作業者がフォークリフトに轢かれたことによる死亡事故も多くみられるケースです。

フォークリフトは、荷を積んだ場合に前方視界の確保が難しくなるため、フォークリフトを後進させている時の事故だけでなく、前進中の激突事故も多いという傾向があります。

そのため、フォークリフトの進路となる範囲に、人が立ち入って作業していたり歩行していたことが多くの事故における原因になっています。

対策として、予め人とフォークリフトの走行範囲を区分けしておくこと、進行方向の安全確認の徹底、前方視界が悪い場合は誘導者をつける等といった措置が有効です。

また、作業エリア内に積み重ねている資材の高さを低くする等して、視界が良好な環境にしておくことも重大事故防止に効果があります。 法令では、以下のとおり定められています。

労働安全衛生規則

第 515 条の 7 運転中の車両系荷役運搬機械等又はその荷に接触することにより労働者に危険が生じるおそれのある箇所に労働者を立ち入らせてはならない。ただし、誘導者を配置し、その者に当該車両系荷役運搬機械等を誘導させるときは、この限りではない。

事故を防ぐための注意喚起について

フォークリフトによる災害を防ぐためには、作業環境・車両といった設備面での安全対策と、教育や注意喚起といった設備以外の面での安全対策の両方が必要になります。

設備面での安全対策は上記に記載したとおりですが、設備以外の面での安全対策としては、作業者・関係者に対する注意喚起・安全教育・トレーニングが重要になります。

また、教育だけにとどまらず、教育内容を日々の作業で実践・維持できるよう注意喚起のための仕組みづくり・環境づくりが重要です。

例えば、毎日朝礼でヒヤリハット事例を共有したうえで予防のための注意喚起を再確認するようにしたり、安全の注意を促す標識・表示を作業場内に提示する等、定期的に作業員が教育内容を再認識できるような仕組みがあることが望ましいでしょう。

当店では、フォークリフト作業の安全確保を目的とした商品も取り扱っていますので、災害防止のためにご活用いただけますと幸いです(フォークリフト関連商品はこちらをクリック)。


この投稿をシェアする