リーチ式フォークリフトの特徴とバッテリーの交換方法

リーチ式フォークリフトの特徴とバッテリーの交換方法

電動フォークリフトには「リーチ式」と「カウンター式」の2種類があります。 このうち、今回は立ったまま運転できるリーチ式フォークリフトについて、その特徴やカウンター式との違いについて解説します。

またリーチ式フォークのバッテリー交換方法についても解説しますので、バッテリーの交換作業を実施予定の方はぜひ参考にしてください。

リーチ式フォークリフトとは?

リーチ式フォークリフトは立ったまま運転でき、視線が高い状態で荷役作業ができること、小回りが利き狭い場所でも作業ができることが大きな特徴です。一方のカウンター式は乗用車のように座った状態で運転できる種類で、重心がリーチよりも低いため安定感がありパワーが強いのが特徴です。

ではリーチ式フォークリフトの特徴について詳しく見ていきましょう。

リーチ式フォークリフトの特徴

【メリット】


・小回りが利き狭いスペースでも動ける
・フォークを伸び縮みさせられる
・バッテリー式なので排気ガスが出ない

リーチ式の最大の特徴は小回りが利き、狭いスペースでも運転できることでしょう。前後のタイヤの間隔が狭いため、90度近くまで回転することが可能。倉庫内や荷物が多い狭い場所でも活躍してくれます。

また「リーチ」には「手を伸ばす」という意味があり、その言葉通りフォーク(ツメ部分)根元のマストを前後させることができるので、フォークの差込や細かい調整作業が非常にやりやすくなります。停止した状態でフォークの部分が伸び縮みするため、車体が入り込めないスペースでもフォークを伸ばして荷物を動かすことができます。

リーチ式はバッテリーが動力となり屋内での使用がメインとなります。エンジン式のように排気ガスが出ないため、倉庫など空気の循環が少ない屋内作業にも支障がなく、環境に優しい点もメリットの一つです。

車体には足元のペダルを踏むと動き、ペダルを離すと止める「デッドマンブレーキ」が採用されています。カウンター式のように駐車時はサイドブレーキをかけるということが不要なため、手軽かつ駐車中の事故リスクも減らせます。

【デメリット】


・カウンター式に比べパワーで劣る
・エンジン式に比べて稼働時間が短い
・屋内での作業に限られる

一方リーチ式にも、いくつかデメリットがあります。まずカウンター式に比べるとパワーが劣ります。カウンター式は重心が安定しており大きな荷重にも耐えられるほどパワーが出るラインナップがあるのですが、リーチ式では重心の兼ね合いもあるので3トンを超える車両ラインナップがありません。

またバッテリーフォーク全般に言えますが、エンジンフォークに比べて連続稼働時間が短くなります。バッテリー残量が減ると充電する必要があり、常にフォークが稼働しているような事業所ですと、エンジン式よりも稼働率は低くなる場合があります。

この他にも、リーチ式は駆動輪が小さく、縦長の構造をしておりカウンター式よりも重心が高いため、ちょっとした凹凸や傾斜に弱く、できるだけ転倒するリスクを避けた荷役作業をしなければなりません。

カウンター式と比べて安定感に劣る点がリーチ式の短所と言えるでしょう。 

リーチ式フォークリフトのバッテリー交換方法

ここまでリーチ式フォークリフトの特徴についてご紹介しましたが、ここからはリーチ式のバッテリー交換の方法について解説します。

リーチ式フォークリフトは車種によって、バッテリー格納場所が「前出し式」と「横出し式」に分かれています。

まずバッテリー交換時の前提として押さえておきたいのが「バッテリーを交換するフォークリフトを平坦な場所に駐車する」こと。 フォークリフトのバッテリーは、バッテリーケースと呼ばれる鉄製の箱に組み付けられています。この鉄箱はバッテリーを固定する役割だけでなく、車両を安定させるためのウェイト(重し)の役割も果たしています。

とても重い設計になっており、傾斜のある場所での作業は転倒等の重大な事故につながる恐れがあります。 前出し式・横出し式に関わらず、「バッテリーを交換するときはフォークリフトを平坦な場所に駐車する」を徹底するようにしてください。

また、バッテリーの交換時は、補助を含めた複数人数で作業を行いましょう。バッテリーケースは非常に重いため、交換する車両とは別に、交換作業に使用するフォークリフトが必要な点も覚えておいてください。

前出し式と横出し式でバッテリーの取り出し方法が違う

ではバッテリーの交換方法を見ていきましょう。

まずバッテリーケースを取り出す作業から始めます。 前出し式は、運転席の前方に格納されているバッテリーを取り出します。リーチ式はツメを前に出した状態(リーチアウト)にできますが、バッテリーロック解除ペダルを踏み込みながらリーチアウトするとバッテリーケースが前方に出てきます(以下動画の2:00~を参照ください)。

横出し式の場合は、車体側面のサイドカバーを開けてから、バッテリースタンド(レール・はしご)をセットし、電源プラグを外します。そのうえでバッテリーケースを引き出します。 バッテリーケースを取り出したら、バッテリー固定金具や電源コード、センサーコードを取り外します。

次に、 フォークリフトの持ち上げ用金具に、交換する車両とは別の車両のツメを引っかける要領でバッテリーを取り出します。 フォークリフトで持ち上げるための金具がバッテリーケースについていない場合は、吊り上げロープをバッテリーケースに取り付け、地面と平行を保ちながら慎重に持ち上げます。

車両が傾いたままバッテリーを持ち上げようとすると、車両ごと持ち上がり転倒等の事故につながるため、注意してください。

バッテリーの取り外しが完了したら、新品のバッテリーを取り付けていきます。取り外しの手順を逆にするようにして、慎重に取り付けていきましょう。車体にバッテリーをぶつけたりしないよう、作業中は運転手と補助員が連携しながら、作業を行ってください。

新品のバッテリーが所定の位置に納まったら、固定金具で固定します。 最後に、電源コードやセンサーコードを取り付け、カバー等を閉めて元の状態に戻せば作業終了です。

バッテリー交換時に注意するポイント

最後に、バッテリー交換時に注意するポイントを解説します。


・古いバッテリーの鉄箱に付属している部品を新しいバッテリーに付けるのを忘れないようにする
・鉄箱受け皿の腐食に注意して作業する
・鉄箱収納時にケーブルを挟まないように注意する
・狭いスペースでの作業は車両破損に注意する

まず古いバッテリーの鉄箱についているL型ステーや油圧ローラーを、新しいバッテリーに移動し忘れないようにしましょう。例えば油圧ローラー(画像中央部分)の取り付けを忘れてしまうと、油圧ホースが鉄箱と擦れ劣化を早めてしまいます。このように、今まで使っていた部品の付け替えを忘れないようにしましょう。

またフォークリフトのメンテナンス時にバッテリー液がこぼれてしまう(オーバーフロー)状態が続くと、鉄箱の受け皿が腐食している場合があります。腐食が激しい場合は底面に穴が空いている場合があるため、注意して作業しましょう。

新しいバッテリーに交換し、鉄箱を収納する場面で多いのがケーブルの挟みこみです。鉄箱と車体の間でケーブルが挟まってしまうと、破損や断線につながるため注意しましょう。

最後に、バッテリー交換は複数台のリフトを使うため広いスペースが確保できる場所で作業しましょう。狭いスペースで作業すると、車両破損や思わぬ事故につながるため注意してください。

高品質・低コストのバッテリー「GB Traction Battery」

リーチ式フォークリフトは、立ったまま運転できるタイプのフォークリフトです。小回りが利き狭いスペースでも作業ができる点や、フォークを伸び縮みさせて荷物を移動できる といったメリットがあります。屋内での作業に重宝し、バッテリー式なので排気ガスの心配がありません。

一方でバッテリーフォーク全般に言えることですが、メンテナンスが不適切ですとバッテリーが短命化し、バッテリー交換によるコスト増が考えられます。

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