廃棄物とは?「産業廃棄物」と「一般廃棄物」の違いも解説

廃棄物とは?「産業廃棄物」と「一般廃棄物」の違いも解説

まず、廃棄物の定義についてですが、廃棄物とは「汚物または不要物であって固形状または液状のもの(放射性物質およびこれによって汚染されたものを除く)」と廃棄物処理法で定められています。

※不要物とは、占有者(所有者ではない)が利用して他者に売却できずに不要になったものを指します。

なぜこのように定められているかというと、本来廃棄物として扱うべきものを有価物と称して法の規制を免れようとすることが多発するためです。有価物と認められない限りは廃棄物として取り扱い、廃棄物処理の法令に準じて正しい処理をおこなわなければなりません。

有価物に該当するかどうかは以下の5項目を見て、総合的に判断されます(詳しくは、こちらの通知をご覧ください)。

1:物の形状・・・利用用途に要求される品質を満足していること。飛散や流出、悪臭など生活環境保全上の支障が発生しないこと

2:排出状況・・・排出が需要に沿った計画的な物であり、排出の前や排出時に保管や管理が適切になされていること。

3:通常の取り扱い形態・・・製品としての市場が形成されており、廃棄物として処理される事例が通常は認められないこと

4:取引価値の有無・・・客観的に見て経済合理性があること

5:占有者の意志・・・占有者の意志として、適切に利用または他者に有償譲渡する意志があること。放置または処分の意志が認められないこと。

ちなみに、気体状のものや、放射性物質(汚染されたものも含む)は廃棄物から除外されます。※ただし、放射性物質(汚染されたものも含む)で廃棄物から除外されるのは以下の2つに該当するもののみです。それ以外は廃棄物から除外されず廃棄物処理法の適用を受けます。

①「原子炉等規制法」や「放射線障害防止法」等の法令の規定に基づき廃棄されるもの

②「放射性物質汚染対処特別措置法」の規定に基づいて処理される対策地域内廃棄物と指定廃棄物

「産業廃棄物」と「一般廃棄物」について

廃棄物を大きく区分すると「産業廃棄物」と「一般廃棄物」の2つに分けられます。

産業廃棄物とは

産業廃棄物とは、事業活動に伴って生じた廃棄物のうち、廃棄物処理法で規定された「燃え殻、汚泥、廃油、廃酸、廃アルカリ、廃プラスチック類その他政令で定められる20種類の廃棄物」と、特別管理産業廃棄物の2種類を指します。

特別管理産業廃棄物には「爆発性、毒性、感染性その他の人の健康又は生活環境に係る被害を生ずるおそれがある性状を有する廃棄物」が該当します。これらの産業廃棄物は、健康や環境への影響をとくに考慮して、必要な処理基準を設け通常の廃棄物よりも厳しい規制を行っています。

平成29年度の日本産業廃棄物処理振興センターの発表によると、日本における産業廃棄物の排出量は約3億8,354万トンで、東京ドームに換算すると300杯以上の量です。過去7年のデータでは概ね約3億5,000万トン以上で推移しています。

一般廃棄物とは

上記以外の廃棄物を一般廃棄物といい、産業廃棄物として規定されない事務所などから排出される紙くずや段ボール、飲食店からの残飯、小売店からの野菜くずなどは「事業系一般廃棄物」、家庭での日常生活から排出される紙くず、段ボール、残飯、野菜くずなどは「家庭廃棄物」と呼ばれています。

一般廃棄物については、家庭ごみ、事業系一般廃棄物ともに、廃棄物が発生した区域を管轄している市町村が「一般廃棄物処理計画」を策定し、統括的に処理する責任があります。事業系一般廃棄物の処理に関しては、各市町村が、条例や処理計画、指針等を独自に定めています。 

本記事について

廃棄物処理法は、ただでさえ解釈が難しいのに加え、改正などによってさらに難解になっています。本記事を廃棄物管理担当者として従事する皆様の実務にお役立ちいただけますと幸いです。※こちらをクリックいただけますと、記事一覧がご覧いただけます。

ただし、都道府県によっては条例や規則、指針などを上乗せ・横出し制定している場合がありますので、自治体担当課等に確認を取ったうえで、最終的な判断を行うようにしてください。


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